株式会社タバッキ / tabacchi

Tabacchi Journal

2021年、tabacchiの決意。――代表・堤亮輔

行動と思考を止めず、常に新しい試みを。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからこの1年半、いろいろな思いをしてきました。何が起こっているのか、どう行動するのが正しいのかが、誰もわからない。そんな状況が続く中で、ぼくらはテーマを決めたんです。

「行動と思考を止めない」。

なにが正解かわからないからこそ、行動と思考だけは止めてはならない。この言葉をスタッフにも、自分にも言い聞かせてきました。

ぼくらはこれまで、ずっとチームで営業をしてきました。店のスタッフだけではなく、生産者さん、業者さん、インポーターさん、そしてお客さんまで含めて、全員がひとつのチームです。このチームのみんなで、おいしい料理を作っているんだと思っています。だからこそパンデミック騒動の中にあっても、チームの誰もが欠けてはならない存在でした。

同時に感じていたのは、度重なる自粛ムードによって「みんなの心の健康が失われている」ということでした。なにか、ぼくらが世間の役に立てることはないだろうか。みんなでたくさん話し合って考えました。

そしてぼくらは、行動することを決めました。食材やワインの流通を止めることなく、お客さんにきちんと届けよう。

2020年秋には4店舗目となる「リ・カーリカ ランド」を開店し、レストランとしてだけでなく、生産者から届く食材や調味料などを買って帰れるマルシェとしての機能も加えました。また酒販免許を取得し、ワインの販売もできるようにしました。これは裏を返せば、国の要請でお酒が出せなくなったことが、ぼくらにとってのきっかけになったとも言えます。ワインの流通を止めてはならない。だったら自分たちでワインを売るしかないと。

各店舗でのデリバリーやテイクアウトメニューに力を入れるだけでなく、2021年1月には自社製品の開発をスタート。冷凍パスタや惣菜、調味料などを本格的に試作・商品化していきました。翌2月にはECサイトを通して、自社商品の通信販売も始めました。

「リ・カーリカ ランド」の開店とあわせて、WEBサイトでの発信も始めました。ここではぼくの考えや生産者さんの魅力を伝えることはもちろん、スタッフのひとりひとりのインタビュー記事も掲載しています。スタッフのページを見て採用面接に来てくれる人も多く、結果的にいま、それがどんどんといい出会いにつながっています。「この人たちが楽しそうに働いているんだ」と、あらかじめわかって来てくれるので。WEBサイトと「リ・カーリカ ランド」の両方から発信してくことで、ぼくらの思いをよりしっかり伝えることができるようになったと思っています。

コロナ禍でぼくらは強くなった。

1年半の間、本当に這いつくばってきました。サバイバルをしている感覚がずっとありましたし、そのぶん会社としても、一人ひとりにも体力がついたと思います。

組織のあり方も見直し、7つの部署と、2つのチームを作りました。以前は、一人ひとりがそれぞれの店舗のスタッフであるという意識でしたが、部署をつくることによって横のつながりが強まり、みんなが「tabacchi」の一員として全体のことを考えられるようになりました。商品開発力、みんなで組織を強くしようという協力体制、それぞれの責任感と主体性。こうした成長のおかげで、最近は外部の企業からもプロジェクトや商品開発の話などを多くいただいています。

営業時間が短縮されたので、空いた時間でワインの勉強をし、料理の研究にもより力を入れました。新しく出す料理の試食会でも、スタッフ同士で思い切りダメ出しをし合います。みんなで思ったことや意見を言い合える力もつきました。

1号店の「リ・カーリカ」は、これまで長く愛されてきたアラカルトスタイルをやめて今年からコース料理1本の店として新たなスタートを切りました。みんなの免疫力を上げていきたいという思いもあって発酵食をたくさん使いますし、身体にいい、おいしい素材をたっぷり使った料理を届けていきます。

動き続け、筋トレを続けてきた効果を、いまじわじわと感じています。ぼくらは、コロナ禍以前に比べて、よりみなさまの役に立てるような会社に成長できているんじゃないかなと。なんにせよ、みんながモチベーション高いですよ。スタッフのみんなから感じる「やってやろう」という精神がすごいです。この間にたまった熱量を、はやく放出したいですね。

これからも自分たちで考え、行動し続ける。

緊急事態宣言が一時的に解除されたこともありましたが、今年に入っても感染者は減るどころか増え、時間短縮や酒提供の自粛要請が続きました。営業自粛を守っている店にはお客さんが入らず、守っていないお店が混んでいる。ある種、ねじれた構造を見て悲しい思いをしましたし、世の中で起こっていることのギャップを心地悪くも感じました。

ぼくらも1年半必死で走り続け、這いつくばってきましたが、8月中旬に緊急事態宣言が出たタイミングで、1ヶ月間休業することにしました。どんなにいい食材やワインを準備しても、食べてくれるお客さんが来られない状況。
スタッフのみんなの精神的にも、きつかったはずです。みんなのモチベーションを大事にする意味でも、「一度休もう」と言いました。

休んだ時間で考えたことは、宣言や要請はこれからも続くであろう中で、「自分たちで判断しなければだめだ」ということでした。このままずるずると、心も身体も揺さぶられるようなことはしたくないなと。

そしてこれからは、自分たちでしっかりと感染対策をした上で通常営業をしようと決めました。客数を減らす、間隔を空ける、換気や消毒などを徹底する‥‥きちんと対策をした上で、料理に向き合ってもらえる店作りをしようと。

もちろん、店を開けてもお客さんが戻ってこなければマイナスになります。プレッシャーもありますし、怖さもありますが、楽しみでもあります。ウイルスなんかに負けるわけにはいきません。

心を豊かにするのは、おいしいものなんです。お客さんひとりひとりに、お店でしか体験できない「おいしさ」「たのしさ」「生産者のストーリー」を届けること。そして、身体も心も健康になってもらうこと。そのために、これからもtabacchiは動き続けます。
どうぞご期待ください。

株式会社タバッキ代表 堤亮輔

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