「リ・カーリカ ランド」では全国の生産者さんから届くこだわりの食材を販売しているのですが「檀上さんの卵」(春夏秋冬)もそのひとつ。生産者の檀上くんは小田原で地域循環型養鶏&農業を営んでいるのですが、実は僕の中学時代の同級生なんです。
料理人と養鶏農家として再会した同級生
檀上くんとは家が近かったので学校に行くときにいつも一緒で、さらに同じサッカー部でした。なのでほぼ一緒にいるような、いつも顔を合わせるような仲でした。
そんな彼が「リ・カーリカ」をオープンして1年ほど経ったときに卵をひとつ持ってお店に来てくれました。すぐに食べてみたのですがそのときは黄身がきれいなレモン色だったことくらいしか印象がなくて…。当時の僕は卵という食材にそこまで注目していなくて、平飼いとかそういうこともよくわかってなかったんです。でもナチュラルワインをはじめ生産者さんのところを訪れたりするなかで僕も意識が変わってきて…。そんなときに中学の同窓会で檀上くんに久々に会いました。
同窓会でいろいろと話をしているうちに檀上くんと僕の感覚が似てるぞってなって(笑)。
「リ・カーリカ ランド」を作るタイミングで、もう一度檀上くんの卵を食べてみたくなり送ってもらいました。
驚いたのは白身の美味しさ
あらためて檀上くんの卵を食べてみるとすごい美味い! 特に衝撃的だったのが、目玉焼きにしたときに白身がすごく美味しかったこと。今まで白身ってそこまで美味しいと思ったことがなくて、目玉焼きに関しては卵黄のおまけぐらいと思っていて…。でも全然そんなことはないと思ったし、黄身と白身を合わせて檀上くんの卵だなと思いました。もちろん白身以外も本当に美味しい。卵を食べた後に「なんでこんなに美味しいの?」みたいな感じでじっくり話をしたのですが、中学時代の僕たちからは考えられない会話だったのでふたりで笑いましたね。
そんなことがきっかけで「リ・カーリカ ランド」での物販と、さらに全店舗で檀上くんの卵を使わせてもらうことになりました。
カルボナーラをワンランク上の逸品にする卵
この前、料理研究開発部部長(リ・カーリカ シェフ)の伊藤に檀上くんの卵でカルボナーラを作ってとミッションを出したんです。僕も一緒に考えて、いい卵かけご飯的に作った方がいいよとか、余計な味をあんまり入れすぎない方がいいとか。本来はグアンチャーレを先に炒めて、そこに卵を入れて作るのですが、グアンチャーレを外して考えて、カリカリにしたものを最後に乗っけたりとか。そういう感じでカルボナーラを再構築したフュージョン的に作ってみたらすごく美味しかったんです。まさに卵かけごはん的なカルボナーラ。こういうことができるのがこの卵なんです。
ストレスフリーの鶏が暮らす地域循環型の養鶏場
6月下旬に檀上くんの養鶏場を訪れたのですが、鶏舎の土を踏んだ瞬間に、あぁここは違うなと。香りを嗅いだ瞬間にさらにあぁなんか違うって。人間でもわかる居心地の良さを感じました。いいものを食べて育ってるんだなっていうのもわかります。あと、人間が来ると普通は鶏ってバーって逃げていくところが多いのですが、鶏たちがすり寄ってくる。警戒心がないですし、ストレスがないんですよね。めっちゃ可愛いかったです(笑)。
ロマン感じる檀上さんの魅力
彼の顔つきと、笑い声、色黒で農家です、みたいな感じが、見ててすごくかっこいいって思います。ちょっと高いトーンの声で、すごいわかりやすく説明してくれるところとか。人としてすごく好きなんですよね。
彼ってずっと働いてるタイプだと思うんですよ。地域循環型でやっているので、野菜や果物を作って商品にならなかったものを堆肥にしたり、鶏の糞を畑に撒いたりしていて、今後は牛を飼ってさらに自分の畑の循環をよくしていこうとしてるみたいで。彼からはすごいロマンを感じる。見てるだけでおもしろいです。だから僕らは彼のものを使い続けたいし、彼らにも提供し続けてもらいたい。そういう関係を続けていきたいですね。
堤 亮輔