株式会社タバッキ / tabacchi

Tabacchi Journal

ひとつひとつ段階を踏んでたどり着いたシェフの道。加藤修司 の「わたしの7Stories」

① わたしのタバッキとの出会い

母親が料理をする人で、手伝っているうちに料理に興味を持ったことが料理人を目指したきっかけです。調理師専門学校に進み、卒業後は横浜のイタリア料理店に就職しました。結婚式やパーティーも多い大きなお店だったのですが、シェフがイタリアの郷土料理が好きで、毎週各州の料理にスポットを当てるような人でした。約5年間働いたのですが、その間にパスタを担当したり、薪窯のピザを担当したり、パンを焼いたりと基礎的なことを学ばせてもらい、さらにイタリアの郷土料理について知ることができました。その後は同じ系列のロティスリーに特化したフランス料理店へ。2年間肉料理に向き合い、骨付き肉の塊を注文して解体したり、肉のバラし方をはじめ、肉という素材の基礎を学ぶ毎日でした。

まだまだ力不足だと感じていた時に、いくつかの雑誌で「リ・カーリカ」を見かけたんです。このお店はちょっと違うなと感じましたね。印象的だったのは、「自家製ハムと西洋ワサビのパスタ」。写真で見るとハムしか乗ってなくて、それが衝撃的でそんな発想があるんだって思ったんです。初めて「リ・カーリカ」を訪れた時はスタッフの躍動感がすごくて料理もひとつひとつちゃんと作り込まれている印象を受けました。素材にこだわってることも実感しましたね。素材にこだわることはその時の自分に足りていなかったことだったので、より一層ここで働きたいって思いました。それから数日して、勤務していたお店に辞めますって伝えてから、タバッキに電話しました。先に勤務先に伝えたのは筋は通さなきゃって思ったから。その後面接したのですが緊張していたので全然覚えてないです。しかも僕スーツで行ったんです。その後入ってくる人がみんな私服だったから、私服でいいんだって(笑)。

② わたしのタバッキでの役割

2014年に入社し、「リ・カーリカ」の洗い場とホールのフォロー、さらにコールド(冷菜)を担当しました。タバッキはシステムがすごくしっかりしていて、狭いお店では動線が重要でスタッフのチームワークもすごくて、慣れるまでは大変でしたね。冷蔵庫の管理もきっちりしていて、ショックを受けることも…。自分ってこんなこともできなかったんだって。7年間基礎を勉強してきたと思ってたけどまだまだ甘かったなって感じる日々でした。その後は、「カーリカ・リ」 の料理人も経験し、ここ2、3年でやっと先輩たちに近づいたかなって思えるようになりました。

そんな中で、入社7年目(2021年10月)にして「カーリカ・リ」のシェフを任されることになり、かなり嬉しかったです。ひとつひとつ段階を踏んでやっと認めてもらえたので。シェフになった今、やってみたいのは郷土料理ですね。一番最初に興味を持ったものでもあるので。例えば、手打ちの生パスタのパスタフレスカとか作りたいですし、郷土料理の温菜もタバッキらしくするために別のアプローチをしたものをやってみたいです。同じ食材だけど組み合わせが違ったり、別の見え方だけど食べるとちゃんと郷土料理といった料理を作っていきたいです。

あとは、お店を盛り上げなきゃという思いがあって、もちろん売り上げも必要ですが、そういうのも含めてお店を活性化させるためにスタッフが健康でいなくてはいけないと感じています。なので、スタッフの心のケアだったり体のケアもしてスタッフの健康を保って、お店を盛り上げていける環境を作ることが今の役割です。若いスタッフが増えてるので、技術的に何かをやってもらうのもいいですが、まずは現場に慣れて自分が働きやすいと思ってもらえる環境を作っていくのも僕の仕事ですね。

③ わたしのイチオシ

お店の躍動感です。「カーリカ・リ」は、ホールとキッチンのやりとりで大きな声が飛び交ってて、それがお店のBGMになっています。お客さんのテーブルも自ずと賑やかになっていって…。そういう雰囲気の店を作っていきたいですね。

④ わたしの仕事道具

いま着ている服です。最初はラガーシャツをずっと着ていて、お客さんにも「ラガーシャツを着てる人」って覚えてもらえました。ラガーシャツに袖を通すと仕事に行くぞってスイッチが入るきっかけにもなりました。正直ラグビーは全くしてこなかったのですが、キャラクター作りで着ていたんです。ルールもわからないです(笑)。ラガーシャツのあとはスタッフが作ってくれたニンニクや唐辛子のイラストのTシャツを着てましたね。これもお客さんと話すきっかけになって…今はシェフになったのもあってデニムのシャツを着ています。清潔感や落ち着いた雰囲気が出ると思ったので何枚か買って毎日着ています。このあとはどんな服装にしようかな〜(笑)。

⑤ わたしの好きなこと

釣りが好きです。2、3年前から月に1回は行っています。この前は62cmの真鯛を釣り上げました。最近はトミー徳永、太陽、ひとみとか、スタッフと一緒に行くこともあります。釣りのおもしろさは、生き物と戦うという命のやりとり。あとは、直接自分の仕事につながっていくのがいいですね。魚一匹釣るのも簡単なことじゃないと実感できます。いずれ船舶免許を取ってみんなを連れていきたいですね。

⑥ わたしのモットー

スタッフの前では弱音や疲れたといったネガティブな発言はしないようにしています。本当は疲れていてもネガティブな言葉をチームのトップが吐くとみんなの士気も下がってしまうので…。「俺の体力は無限だ。」「体力お化けだから」って言ってます(笑)。

⑦ これからのわたし

「カーリカ・リ」 のシェフという立場をいただいてからは、タバッキを盛り上げるために自分がどうしていくべきかを常に考えています。もちろん、その後に独立とかの夢もあるのですが、今は目の前のことをがんばりたい。性格的にも目の前のことをやっていくタイプなので。器用じゃないんです(笑)。

なので、まずは仕事をまっとうするために、この新生「カーリカ・リ」の基盤を作っていきつつ、僕のエッセンスが入った料理を出していきたいですね。そしてお客さんに喜んでいただくことが僕の目標ややりたいことにつながると思っています。これまでの「カーリカ・リ」よりも、もっと盛り上がる「カーリカ・リ」を作っていきたいです。

<プロフィール> 
加藤修司、1989年生まれ、神奈川県横浜市出身、A型。調理師学校卒業後、横浜のイタリア料理店に入社し、5年間料理人として勤めたのち、姉妹店のロティスリーに特化したフランス料理店で2年間勤務。その後、2014年に株式会社タバッキに入社。リ・カーリカとカーリカリの料理人を経て、2021年より「カーリカ・リ」のシェフを任される。趣味は釣り。

企画/金沢大基(iD)文/田中亜衣(iD)写真/倉橋マキ