ピチをもっと気軽に食卓で！「プロジェクトピチアリオーネ」誕生秘話

※リ・カーリカランド　’20年11月〜’24年7月開店

トスカーナ地方で食べられている太麺パスタの「ピチアリオーネ」は、ぼくが「リ・カーリカ」をオープンしたときから今まで、一度もメニューから外れたことのないお店の定番料理です。イタリアのシエナで出会ったときに、うどんのような見た目のおもしろさとシンプルにうまいトマトソースに惹かれて、それ以来ぼくの大好きな料理でもあります。

もともとピチがうどんとか蕎麦、ラーメンと肩を並べるくらい、気軽に食卓でも食べられる料理になって欲しいと思っていたのですが、コロナ禍を経験したことで、誰でもどこでも簡単にピチを食べられるように商品化するプロジェクトをスタートしました。

ピチの冷凍食品をやろう！「プロジェクトピチアリオーネ」の始動

４月の緊急事態宣言で、ぼくたちはお店の営業を一部やめてテイクアウトに力を入れて困難を乗り切りました。でも年明けからはじまった２回目の緊急事態宣言では、テイクアウトの反響が前回ほどなかったんです。正直、1回目のときのようにがっつりテイクアウトだけやるわけにもいかないし、限られた時間の中でお店の営業もしていきたい…。中途半端な気持ちのままでいるのはタバッキらしくない！そんなときに「この機会にピチの冷凍食品をやろうぜ！」となり、「プロジェクトピチアリオーネ」がスタートしました。

もともと、ピチは冷凍しても美味しいパスタになるのでは？と思っていました。以前、イベントで残ったピチを１〜２時間後に食べてみたところ、結構美味しかったんです。そもそもうどんみたいな麺だから冷凍にも耐えられると確信していて。そこで冷凍ピチを開発して販売することになりました。　

こだわったのは「レンジでチン」で食べられるイタリアマンマの味！

ピチの冷凍食品を開発するうえでこだわったのは電子レンジで温めればすぐに食べられる手軽さです。鍋もフライパンもいらなくて、子供でも簡単に作れるものにしたいなと考えていました。

電子レンジで美味しく仕上げるために試行錯誤したことはたくさんあります。例えば、麺とソースを一袋にまとめたかったので、麺とソースが同じタイミングで一緒に溶けていくように何度も試作しました。ソースが先に溶けると水分が飛んでしまうし、麺が先に溶けると柔らかくなり過ぎてしまいます。その微妙な計算がすごく重要。最終的には麺もソースも細かく分けて冷凍して、麺の塊を6つ、ソースの塊を2つ、一袋にまとめることで解凍時に均一に溶けていくようにしました。

麺はお店で出しているピチとは違って、練り方を変えました。冷凍のほうがもっとコシが出るようにしています。ソースは水分と油分の調整を何度も繰り返しました。

実は、販売を開始した頃の冷凍ピチと今販売している冷凍ピチは、全然違うんです。最初に販売したときはお客さんの期待に添えない点がいくつかあって不甲斐ない結果になってしまいました。そこから、お客さんのフィードバックと向き合いチームで奮起。１週間かけて納得のいく味に仕上げていった経緯があります。今では徐々に口コミで広がってリピーターも増え、全国の皆さんに毎日たくさんの冷凍ピチをお届けしています。　

コンセプトは安心安全な“ナチュラルジャンク”

現在、冷凍ピチシリーズとして販売しているのは、「ピチアリオーネ」「ピチアラッビアータ」「ピチボロネーゼ」の３種類。お店と同じく食材はカラダに優しい安心安全なものばかりなのですが、しっかり味が決まっていて中毒性があるB級感も楽しんでもらえます。

「ピチアリオーネ」はチーズとニンニクが効いた濃厚なトマトソースが自慢で、季節によって異なるホールトマトの味や水分の調整も計算済みです。「ピチアラッビアータ」は、トマトソースに、発酵バターと自家製発酵青唐辛子を合わせた自家製「ペペバター」を組み合わせることでやみつきになる辛みを出しています。「ピチボロネーゼ」は、しっかり焼いた牛肉を赤ワインで煮込んだソースに、トマトソース、さらにペコリーノチーズを合わせてコク深い味わいにしました。お子さんにも人気です。日々さらに改良を加え進化しています。