※リ・カーリカ ランド ’20年11月〜’24年7月開店
① わたしのタバッキとの出会い
食べること飲むことはもともと好きだったのですが、大学卒業後に選んだのはファッション業界でした。アッシュ・ペー・フランスに入社して、国内外のファッションブランドのプレス業務や若手デザイナーの支援を担当していました。
でも、次第に食べること飲むこと料理をすることがもっと好きになっていって、食に関係する仕事にも興味が湧いてきたんです。もちろんファッションの仕事も楽しかったんですけどね。
それと同時に、25歳くらいの時から東方神起にハマって(笑)。韓国語を勉強して頻繁に韓国に行くようになりました。それをきっかけに韓国のブランドを紹介する仕事にも携わったりして。そして、30歳の時に会社を辞めてワーキングホリデーで韓国に住むことにしたんです。渡韓後はラッキーなことに、家庭料理を出すモダンな韓国料理レストランで雇ってもらえてキッチンで働くことに。ここで初めて調理をする仕事につきました。
1年ほど韓国で暮らした後に帰国したのですが、食に関係する仕事をしようって決めていました。そんな時に、たまたま友人が連れて行ってくれたのが「リ・カーリカ」でした。賑やかで楽しそうなお店の雰囲気がすごく好きで、食事もワインも美味しいし(特にピチアリオーネ!)感動していたんです。そしたらトイレにスタッフ募集の張り紙があって…。すぐに電話して面接をすることになり、最初はアルバイトとしてお店に入ることになりました。
リ・カーリカに入ってからは、今まであまり関心のなかったナチュラルワインを知って、お店に出入りしていたナチュラルワインに精通したシェフたちとお話する機会があったり、とにかくナチュラルワインにディープに入り込める環境がありました。もともとオタク気質があるのでどっぷりハマってしまい…。そんな時に堤から「正社員で働かない?」と誘われ、正式に社員として入社しました。
② わたしのタバッキでの役割
入社後は「リ・カーリカ」でキッチンの仕込みやサービスを担当して、特にワインについてはしっかり学ばせていただきました。今は昨年末にオープンした「リ・カーリカ ランド」で主にサービスとショップの運営を担当しています。
「リ・カーリカ ランド」は、お客様に近所の食堂みたいに使ってほしいと思っていて、わたしやゆりさん(リ・カーリカ ランド店長兼女将)が培ってきたワインの知識と接客の感じをどんどん取り入れて、スタッフみんなで意見を出し合ってお店づくりをしていきたいと考えています。
ショップでは、もともとお付き合いのある生産者さんや、自分たちで食べたり見に行ったり紹介してもらった生産者さんの商品を扱っています。さらに料理研究開発部と一緒に自家製の商品も開発して、今では10種類を超える自家製商品がお店に並んでいます。お店での販売の他に、オンラインショップも運営しています。
③ わたしのイチオシ
スタッフのチームワークがイチオシです。年齢やこれまでのキャリアなどバラバラでそれぞれ個性的なのですが、みんなで一緒にやってきたからこそいい結果を出せていると思います。みんな人が好きだしコミュニケーションを取るのが好きなんですよね。よくスタッフ同士で飲みにも行きますよ。
ちなみに、キャラが濃いスタッフばかりの中で、わたしは普通だと思ってます。みんなの個性に圧倒されてます。(笑)
④わたしの仕事道具
メモ魔なので、iPhoneのメモアプリとか、紙のメモとか、ポストイットもたくさん使います。ワインや料理の情報を蓄積できるように、訪れたお店で飲んだワインの印象や料理のことをメモして、たまに見返したりしています。あとは、お客様がどんなワインが好きだったかなどを書いたりしますね。
今まで残したメモの中でも印象的なのは、ワインの師匠(おこがましいのですが…)である四ッ谷・荒木町の紹介制ワインバー「HIBANA」店主の永島農さんに茨城県つくば市「ヴィナイオータ」の太田久人さんのところに連れて行ってもらった時のものです。その時に飲ませてもらったサルデーニャの造り手「パーネヴィーノ」の「熟成マリポーザ」が恐ろしく美味しかったんです。でも実は入荷した当時は全然売れなくて、臭いって言われてたそうで。それが、「10年後にやっぱり美味しくなったね〜」って、永島さんと太田さんが話している姿を見て…。魂が震えましたね。その時の気持ちもメモしました。
⑤ わたしの好きなこと
料理をするのが好きです。わたしの人生のテーマは「旅と食」なのですが、世界の調味料が大好き。調味料フェチなんです(笑)。「リ・カーリカ ランド」で扱っている調味料を使って料理するのも楽しくて、使い方がわかるとお客様に紹介もできますしね。
最近ハマっているのは、お店でも販売しているイタリア・シチリア州のワイン生産者「アリアンナ オッキピンティ」の「塩漬けケッパー」です。炒め物にパッと入れたり、刻んでソースにするのもおすすめです。
珍しい調味料を見るとすぐ買いたくなっちゃうので、家には調味料がたくさんあります。それを使って即興で料理をするのが好きです。定番の煮物とかにちょっと調味料を入れてアレンジして、ワインと一緒に飲んだりしています。
あと、せっかく韓国に住んでいたので、今後韓国料理もしっかり作りたいと思っています。キンパはまかないで出したりもしています。
⑥ わたしのモットー
みんなを笑顔にしたいです。わたしに関わってくれる人みんながハッピーでいてほしいと思っています。接客に関しても、プロフェッショナルな側面とフレンドリーな距離感のバランスを大切にしています。笑顔や声のトーン、話し方も大切にしていて、営業中はずっと笑顔でニコニコいること、明るくいることを心がけています。
お客さんが気持ちよく楽しそうなのを見ると、そこに多少なりとも関われたのが嬉しいです。もともと自分を売り込んだり主張するのが得意じゃないのもあり、「戸梶さんがいてよかった!」ではなく「お店の雰囲気よかったね!」って思ってもらえたらそれが一番嬉しいですね。
プライベートでは、「一緒に飲みいきたいやつ」って言われ続ける人でありたいですね。
⑦ これからのわたし
今は、「リ・カーリカ ランド」で主にサービスを担当していますが、もうちょっと料理もしていきたいなと思っています。サービスはもちろん料理もして、わたしたちらしいお店にしていきたいです。
他の3店舗とは違って、イタリアというキーワードに縛られずに、みんなの得意なものなど、自分たちでアイデアを出しながら自分たちのお店を作っていきたいです。
イベント企画運営部長もやっているので、社内のみんなでワインの勉強会とか研修、ワークショップなど、テーマを決めて色々とチャレンジしたいです。他のレストランとのコラボやお店以外の場所でイベントもやりたいです。“ご縁”をつないでいくような面白いことを企画して、それがみんなの刺激になったり、何かにハマるきっかけになったら嬉しいです。
<プロフィール>
戸梶 由衣、1983年生まれ、高知県高知市出身、O型。大学卒業後、アッシュ・ペー・フランスに入社。8年間勤務した後、韓国に渡り現地のレストランに1年勤務。帰国後の2015年に株式会社タバッキに入社。「リ・カーリカ」のサービスマンを経て、現在は「リ・カーリカ ランド」の“チーママ”として主にサービスとショップ運営を担当。イベント企画運営部部長も務める。
企画/金沢大基(iD)文/田中亜衣(iD)写真/倉橋マキ