株式会社タバッキ / tabacchi

Tabacchi Journal

フレンチと和食の経験を活かした「枠にとらわれない料理」に挑む!松本和久の「わたしの7Stories」

① わたしのタバッキとの出会い

8年前にナチュラルワインと出会ったことが、タバッキとの出会いのきっかけになりました。それまでは正直、「ワインは料理のお供」としか思っていなかったのですが、ナチュラルワインを飲むようになって「ワインって美味いな」って感動するようになって…。そんな中、ワインの勉強会で「リ・カーリカ」を訪れる機会があったんです。

もともと、小さい頃から料理人になりたくて、地元・埼玉の老舗フランス料理店を経てミシュランに憧れて上京。「リストランテ・ホンダ」で働いていました。でも最終的な目標は自分の店を持つこと。そんな僕にとって、「リ・カーリカ」は理想的なお店でした。初めて訪れた時に「独立したらこういう空間を作りたい!」って思ったんです。

それからお店に通うようになったのですが、当時はまさか自分がここで働くとは思っていませんでした。でも通いはじめて何年か経った頃に「リ・カーリカ」が料理人を募集していることを知ったんです。最初は自分の好きなお店だからお客さんでいる方がいいのかなとも思ったのですが、同じく料理人でいつも僕のことを応援してくれる妻が「独立前の最後のステップとしていいんじゃない?」と背中を押してくれたんです。面接で堤と会ったときに「独立前に勤務する最後の店としてタバッキでがんばりたい!」と伝えると賛同してくれて。そして2020年2月に入社することになりました。

② わたしのタバッキでの役割

入社してからすぐに感じたのは“理想的”の一言に尽きます。お店の仕組みや経営について学べるうえに、自分がやりたいことを気軽に相談できて、最高の環境だなと。“自分のお店”という意識でいろいろとやらせてもらえます。

一緒に働いているメンバーも刺激的で、入社当時すでに同世代の伊藤(現・料理研究開発部部長)や服部(現・「カーリカ・リ」シェフ)が各店舗でシェフをやっていたので「早く一緒に働きたい」って楽しみでしょうがなかったですね。そして「リ・カーリカ」のシェフだった田中にも支えられました。僕は遠慮しがちな一面もあるのですが、田中が「なんでもやってみて!」と言ってくれて。そんな恵まれた環境の中、やりたいことをやらせてもらっていたらあっという間に約1年が経っていました。

今は、「あつあつ リ・カーリカ」のシェフとして料理を任せてもらっているのと、料理研究開発部のメンバーとして各店舗のメニューやテイクアウトのメニューを考えています。アイデアを持ち寄り、それぞれにアドバイスしあって、新しいものを生み出す作業はめちゃくちゃ楽しいです。

③ わたしのイチオシ

「枠にとらわれない料理」です。フレンチや日本料理店での経験があるので、 “料理の落としどころ”については選択肢をたくさん持っています。フレンチの仕立てや和の食材についても勉強してきたので、イタリアンとの融合も柔軟に対応できます。

「枠にとらわれない料理」を作るためにやっているのが、あらゆる食材を組みわせてみて、頭の中で一回食べてみること。似てる食材、風味とかを探しながら料理のアイデアを日々練っています。

例えば、「カーリカ・リ」で出していた「仙鳳趾カキと冬瓜とコンソメ 香味のりのムース」は、牡蠣にブイヨンで炊いた冬瓜を重ね、最後に牡蠣の茹で汁で作った泡と海苔を混ぜたソースをかけた料理なのですが、フレンチと和の要素を取り入れた一皿です。

あとは、今おもしろいと思っている料理は「あつあつ リ・カーリカ」で出している「揚げ白子豆腐」です。コンソメスープで炊いた白子をセモリナ粉で揚げて、ザワークラフトを添えた料理で、和の食材を使っているのに食べるとちゃんとイタリアン。そこが「あつあつ リ・カーリカ」っぽいかなと思っています。

④わたしの仕事道具

築地「子の日」の洋包丁です。「子の日」というと和包丁のイメージが強かったのですが、調べてみたら洋包丁もあることを知り。ちょうど料理人の友人が使っていたので試しに持たせてもらったら、手にしっくりきたんです。

高級品なのでなかなか手に入れる機会がなかったのですが、「あつあつ リ・カーリカ」のシェフになった記念として一緒にデビューしました(笑)。

全て職人の手作りなので、グリップを握った時に「これだ〜」って感動しました。白いグリップを選んだのは清潔感があるから。清潔感ってすごく大切ですよね。

⑤ わたしの好きなこと

自然の中に行くのが好きです。疲れていると自然の中に身を置きたくなります。常に頭を使っているので、「無」になれる環境や時間を大切にしています。

あまり時間がなくて都心から離れられない時は、神社に行きます。特に明治神宮にはよく行きますね。自分の中で何かを切り替えたいタイミングとか、忙しくなる前とか、フラッと行くことも多いです。「あつあつ リ・カーリカ」を任されることになった時にも行きました。何かをお願いするというよりかは、日頃の感謝を伝えに行っています。

⑥ わたしのモットー

「迷ったときはワクワクする方を選ぶ」です。楽とか辛いとかは関係なく、ワクワクするかどうかで選ぶ。楽な方を選ぶとどうしても途中から楽しくなくなってくるんです。でもワクワクする方を選ぶと、どんな辛い道でも楽しむことができます。

料理人として大切にしている言葉は、最初に勤めたフランス料理店のマダムの言葉で「美味しいと幸せは一緒」。作る側も食べる側も、美味しいと幸せですよね。

⑦ これからのわたし

20代前半の若いスタッフが入ってきた時に、後押ししてあげられる存在でいたいです。最初はみんな遠慮しがちですが、僕を踏み台にして欲しいと思うんです。僕から教わったことが次のステップに繋がったら嬉しいです。

あと、「あつあつ リ・カーリカ」のスタッフにはいつも輝いていて欲しいです。お客さんが美味しいって言ってくれるのは、料理やワインの味だけじゃなくて、スタッフの笑顔だったり雰囲気が重要です。みんなでどんどん勝負していきたいですね。

それと、レストランは「rest&run」という意味もあると思っていて、お客さんが気持ちを切り替えられる場所であるべきだと考えています。なので、忙しい仕事の後に美味しい料理とワインで気持ちをリフレッシュできるような、そういう空間を作りたいです。

<プロフィール>
松本和久、1989年生まれ、埼玉県幸手市出身、B型。小さい頃から料理人を志し調理師専門学校に進学。地元・埼玉のフランス料理店を経て、東京・青山の「リストランテ・ホンダ」に勤務。その後、日本料理店を経て、2020年に株式会社タバッキに入社。「あつあつ リ・カーリカ」のシェフならびに、料理研究開発部のメンバーとして、全店舗のメニューの開発を担当する。趣味は自然の中に行くこと、神社参拝。

企画/金沢大基(iD) 文/田中亜衣(iD) 写真/倉橋マキ