株式会社タバッキ / tabacchi

Tabacchi Journal

タバッキ初の女性シェフ、星野夏子の「わたしの7Stories」

1. わたしのタバッキとの出会い

短大で栄養学を学び卒業後は管理栄養士として3年間働いていました。病院や介護施設などで勤務する中で、パソコンに向かうことよりも厨房で料理を作っている方が楽しいなと感じたことが、料理人を目指すきっかけになりました。最初は料理のジャンルなどもわからず、当時お菓子づくりが好きだったこともあり、地元のパティスリーに勤務しました。昔ながらの街のお菓子屋さんだったのですが、そこでお菓子作りの基礎を学ばせてもらい3年が経ち、やっぱりお客さんを目の前にして料理がしたいと思い飲食店へ転職。料理人としてのスタートは遅く、27、8歳の頃のことでした。

初めて勤めたのは茨城のイタリア料理店。その後、31歳で上京し別のイタリア料理店で働いたのですが、そのお店はクローズドのキッチンで、流れてくる伝票を見ながら料理をする毎日。やっぱりお客さんの顔が見たい、食べている姿や反応が見たいという気持ちが高まっていたときに、たまたま訪れたのが「リ·カーリカ」でした。

「リ·カーリカ」はとにかく楽しくて印象に残るお店でした。東京には料理もワインも美味しいお店はいっぱいあるけれど、ここまで心に残るレストランはなくて。料理もワインも口にしただけで、ものすごく考え抜かれたものなんだろうなって感じて、強いこだわりに感動したんです。どのスタッフもシェフやソムリエと同じ熱量でお客さんに料理やワインのことを話していて、まさにプロフェッショナルの集団。そういう店作りの裏側を見てみたい…そう思ったところにスタッフ募集の張り紙を見つけて。転職を考えていたこともあり後日電話をかけました。面接で堤に初めて会ったときには、人を惹きつけるオーラがある人だなとワクワクしたのを覚えています。

2. わたしのタバッキでの役割

2022年2月に入社してから今までずっと職場は「リ·カーリカ」。入社して感じたのは、食材に対する向き合い方の凄さ。ワインも同じで、何本も何本も料理に合わせて話し合って…そういうのを毎日のように繰り返しているのを見て刺激を受けました。経験を積ませていただき3年近く経ち、シェフを任せたいという話が来たときは正直驚きました。私でいいの?って(笑)。でも同時にがんばりたい気持ちが湧いてきて。2025年 1月からシェフとして働いています。

3. わたしのイチオシ

ずばり「リ·カーリカ」のスタッフです。みんなとても素直で一緒に働いていて気持ちがいい。私はとぼけているところが少しあるんですけど(笑)、色々とフォローしてもらっています。わたし一人ではできないこともみんなに助けてもらってやれているので、感謝の日々です。

スタッフには、常に自分らしくいて欲しいです。これをやったらダメなんじゃないか?とか、お客さんに遠慮しちゃうとか、考えすぎて欲しくないですね。スタッフのやりたいことを柔軟に聞いてサポートするのもわたしの仕事のひとつだと思っています。スタッフも前に出していきたいと考えているので、チームの指揮をとりつつ、みんなのサポートもしっかりできるシェフでいたいです。

4. わたしの仕事道具

ヘアゴムです。仕事中は髪を必ず束ねています。朝、家で髪をしばってから出かけるのですが、そうすると仕事へのスイッチが入ります。髪を下ろすのも家に帰ってから。家は家、仕事場は仕事場と割り切っているので、例えば仕事が終わった後にスタッフと飲みに出かけても髪はほどきません(笑)。なので、休みの日に髪を下ろしているとわたしと気づかない人も多そうですね。

5. わたしの好きなこと

車を運転することとキャンプが好きです。キャンプに行くときも夫にハンドルを渡さず自分で運転します(笑)。最近は秩父にキャンプに行きました。群馬や静岡、山梨の方に行くこともあります。キャンプに行くときはできるだけ物を少なくしていて、包丁とまな板を持っていかないこともあるんです。食材は家で仕込んで、キャンプ場では簡単な調理だけ。キャンプに来てまであれこれして片付けて、と忙しくするのは違うんじゃないって。自然を楽しみに来ているのだから、できるだけ楽をして可能な限りゆっくりと過ごします。いつか犬を飼って一緒にキャンプするのが夢です。

6. わたしのモットー

心身の健康を保つことがモットーです。毎日温かいお布団で眠ること、お腹すいた何食べようこれ食べたいって思えること…そういう基本的な人間らしい生活をすることが大切。自分の心身が健康じゃないと、お店に来てくださるお客さんをハッピーにできないと考えています。なので、私生活をしっかり整えるようにしています。

7. これからのわたし

お客さんに楽しんでもらえるチーム作りを意識しています。やるべきことはたくさんあるけどそこまで器用じゃないので、目の前のことから着実にやっていきたい。とにかく気さくで元気なチームで活気あるお店を作っていきたいです。

あとは、リ·カーリカの新しいテーマに「大人のトラットリア」があるのですが、今は堤に相談しながら、アイデアを積み上げている段階です。考えていることはいくつもありますが、そのひとつがお客さんにお肉をがっつり食べてもらうこと。もちろん軽く一杯からも大歓迎ですが、どの卓にもバン!と盛られたお肉があってがっつり食べてワインを飲んで欲しいです。

また、タバッキ初の女性シェフということで、女性スタッフがレストランで長く働いていくために必要なことに気づけるシェフでありたいと思っています。女性で料理をやってみたい人は、ぜひチャレンジして欲しいですね。もちろん男性もウェルカムなのは変わらないです。間口がどんどん広がっていったら嬉しいですね。

<プロフィール> 
星野夏子、1987年生まれ、茨城県出身、A型。短大で栄養学を学んだ後、管理栄養士として病院や介護施設に3年間勤務。その後、パティスリー、イタリア料理店で経験を積み、2022年に株式会社タバッキに入社。リ·カーリカの料理人を経て、2025年より「リ·カーリカ」のシェフに就任。趣味は車の運転とキャンプ。

企画/金沢大基(iD)文/田中亜衣(iD)写真/曽我美芽